FinTech時代を税理士はどう考え行動すべきか

FinTech時代を税理士はどう考え行動すべきか

FinTech時代を、我々税理士はどう考え行動すべきであろうか。

 

金融機関は時代の流れ、とりわけ経済情勢の流れと、その影響の中で大きく変化をとげている。

今の経済情勢は、新興国不安の波及経路と先進国経済の減速によって、金融市場の混乱を招き、世界的な株価下落がクレジットスプレッドの拡大を招き、世界連鎖不況への警戒によってさらにグローバルな金融緩和圧力となっているという図式である。

 

もっと簡単にいえば、中国経済の減速が中国株の下落を招き、人民元安をあおり、グローバルな原油の供給超過によって、原油価格の下落につながり、それがさらに新興国、資源国の減速になり、外需の悪化が金融市場の混乱と先進国経済の減速になった様相という図式である。

 

株式に目を転じれば、外需株はひさんの下落であり、内需だけが若干持ち直しているという状況である。

 

これによって金融各社の資金運用益も対前年で半分以下に落ち込んだところは、ざらにある。

 

こういう状況下にあって、金融各界は新しい事に目を転じ、企業経営に力を入れ、デフレ脱却を急ぐあまりに、一旦は金融緩和をやむなくしていく事で局面打開をはかっている。

 

FinTechサービスも、新しい造語としてFinance Technology として、いかにしてその利便性を駆使して、金融各社が飛びつく形で、話がすすんでいます。

 

それは金融庁が平成26年9月に発表した「金融モニタリング基本方針」にさかのぼるといわれています。「事業性評価」を重視するあまりに、企業各社の持続可能性を含む事業性を重視して融資を行うという観点から、取引先を常時モニタリングできる機能を持つクラウド会計との接点が発生したようである。

 

しかしここに安易に融資時に決算書の信頼性を最も重視する金融機関が、クラウド会計によって作成された日々の仕訳や、その結果導き出された決算書を、本当に信頼性の高いものと評価するには、論理的飛躍があるのではないか。

 

我々職業会計人から見れば、二重にも三重にもなるどう考えても解せない決算整理仕訳が出てきたり、発生主義とは名ばかりの整合性のあわない、現金主義計上がなされていたり、費用収益対応も全く理由がみられない決算整理仕訳が出てきたりしたクラウド会計に信頼性は皆無としかいいようのない決算をどう説明するのか。

 

やはり決算とは月次巡回監査によって、現場で帳簿の取引を1つ1つ確認して正しい事実認識と、取引事実を確認して、はじめて信頼性の高い決算が作成できるものではないのだろうか。利便性だけで大きな目的(正しい決算を行う)を、決してゆがめてはならないのである。

 

巡回監査の実践に裏付けられたFinTechサービスから導き出される決算書を私達税理士は作るところに、そもそも税の専門家としての存在意義があることに、何ら変わりはないはずである。

 

またFinTech時代の我々税理士が行動すべき原点もそこにあることには、何ら変わりはないはずである。