素直と感謝
京都・東山の南禅寺前に、真々庵という千数百坪の庭園がある。松下幸之助がこよなく愛した庵である。
この真々庵の一角、こんもりと木々が茂中に、「根源の社」がある。伊勢神宮の内宮本殿を、八分の一の大きさに模した社である。
この根源の社が、松下幸之助の思想の原点である。
この社の中には、神様のお礼は入ってこない。ご本尊となるような仏像もない。社の中には「根源」の二文字を書いた、小さな板があるだけ。
そこで松下幸之助は、「宇宙根源の中は、万物生成発展の法則にのっとって働いている」と信じ、常にすべてのものを生かそうと働いている。その目に見えない力を指して「根源」と言い表したのである。
松下幸之助に、ついていた人が「毎回、何を祈っておられるのですか?」と聞いたことがある。
松下幸之助は、そうやな、二つのことを祈っていると、答えたそうである。
「まず、素直な心になること」、そして「もう一つは、感謝や」。
この素直さ、この感謝について、もう一度考えてみたい。
これからの人生、何も急ぐことはない。あわてることもない。
与えられた人生を、楽しく、人の為になる生き方をしたいものである。素直と感謝にその源がある様に思える。